私たちの体のほとんどが水でできています。体内のおよそ60%が水分で占められているという事実に驚かされますよね。水はまさに、生きる上で欠かすことのできない存在といえます。
さて、皆さんがいつも飲んでいるお水はどんなお水ですか?水のことはあまり意識していない、という方もいらっしゃるかもしれません。
実は、カラダの内側から美と健康をつくる菌活・腸活において、食べ物と同じくらい「水選び」も重要なのです。 そこで今回は、菌活・腸活をする際につい見過ごしがちな「水選び」についてお話ししますね!
おなかの環境づくりは食事だけにあらず
おなか環境を整えたいと思った時、「食べるもの」に気をつけることはあっても、「飲むもの」は意外と見落としがちだったりします。ですが、おなかの環境づくりにとって、水分も重要な要素です。それは、水が持つ体内での役割からもよく分かります。
体内を循環する水分(体液)は、まるで地球上で水が循環するかのように、想像以上に数多くの役割があるのです。
例えば、酸素や栄養分を身体中に運んで老廃物などを体外に排出したり、新陳代謝がスムーズに行われるようにしたり、体温や体内の浸透圧などを一定に保つ働きをしたり……。これでもごく一部の役割に過ぎません。それほど水分は重要で、水分補給は不可欠な生命活動だといえるでしょう。
そんなたくさんの役割のひとつに、「お通じへのアプローチ」があります。体内の水分が不足すると、おなかの中の便が硬くなって便秘を引き起こしやすくなります。便がきちんと排出されないことがいかに腸にとってマイナスか、皆さんもよくご存知かと思います。スムーズなお通じのために、こまめな水分補給がとても大切になってくるのですね。
そしてさらに、「どんな水を飲むか」も少なからず影響するというのです。水の種類は盲点だったという方も多いようです。
体内の水分は、排泄や発汗などで毎日少しずつ入れ替わり、約2週間をかけてすべて入れ替わります。そう考えると、毎日飲む水を「あなたのおなかが求める水」に変えるだけでも、だいぶ手応えが変わりそうです。
では、一体どんな水を選べばいいのでしょうか? 水選びのコツを一緒にみていきましょう!
[水選びのコツ1]水の分類をチェック!
水と聞いて最も身近なものは、おそらく「水道水」だと思います。水分補給として水道水を活用するのも悪くありませんが、おなかの環境づくりの視点から見ると、消毒のための塩素(カルキ)が含まれていない水がオススメです。
そこで活躍するのが「ミネラルウォーター」なのですが、現在日本で販売されているミネラルウォーターは、厳密に4つの分類があるのをご存知ですか?
それがこちら!
① ナチュラルミネラルウォーター
特定の水源から採取されており、地中でミネラル分が溶解した地下水。沈澱、ろ過、加熱殺菌以外の処理はされていません。
② ナチュラルウォーター
特定の水源から採取された地下水。①と同じく、沈澱、ろ過、加熱殺菌以外の処理はされていません。
③ ミネラルウォーター
地中でミネラル分が溶解した地下水ですが、沈澱、ろ過、加熱殺菌の他に、オゾン殺菌・紫外線殺菌・ミネラル分調整・ブレンドなど、人工的な処理がされています。
③ ボトルドウォーター
いわゆる飲用可能な水。水道水もこれに含まれます。処理方法に限定がありません。水道法により50項目の水質検査をクリアしていますが、塩素や水道管の老朽化問題が指摘されている側面も。
4つの分類のなかで、おなかの環境づくりとしてオススメしたいのが「ナチュラルミネラルウォーター」です。ナチュラルミネラルウォーターと明記できる水は、抗菌を目的とした処理の仕方も厳しく規定が設けられています。科学的・物理的な処理をおこなっていないため、まさに「天然の生きた水」といえる水質だからです。 もし、ナチュラルミネラルウォーターをお探しの際は、ラベルの品名部分や成分表のところをチェックしてみてくださいね。そこに分類名が明記されているはず。水選びに迷ったら、自然界のミネラルを豊富に含んだナチュラルミネラルウォーターをぜひ試してみましょう。
[水選びのコツ2]水の硬度をチェック
水の分類の次は、水の硬度もチェックしてみましょう!
水の硬度は、含まれる成分の量に応じて基準が設けられています。そして硬度を構成しているのは、主にカルシウムとマグネシウム。これらのミネラル量によって硬度が決まります。
日本では一般的に、
硬度が0~100mg/L以下のもの → 軟水
硬度が101~300mg/L未満のもの → 中硬水
硬度が301mg/L以上のもの → 硬水
と分けられています。見た目では違いが分かりませんが、飲んでみると味わいに結構な差があるんですよ。硬水になればなるほど口当たりが重くやや苦みを感じますが、軟水になると口当たりがまろやかでさっぱりと軽い感じになります。
また、海外のミネラルウォーターは硬水が多いのに対し、日本で採水されるミネラルウォーターの多くは軟水です。
これは地形の違いが大きく影響しているのだそう。日本は国土が狭く急峻な地形が多いため地層に浸透する時間が短く軟水になりやすいのに対し、ヨーロッパや北米などの大陸では地形が緩やかで地層内を通過する時間が長いため硬水が多いというわけです。
「それじゃ、軟水・中硬水・硬水、どれを飲んだらいいの?」と思われますよね。ミネラル含有量の多い硬水が一見良さそうに感じますが、実は日本人の体にフィットするのは軟水の方。とはいえ、軟水だけではミネラルが少ないのが気がかり……。
おなかの環境づくりの視点から考えると、やはり中硬水がオススメ! 硬水は、ミネラル含有量が多いけれど、日本人のおなかにあまり合わない。軟水は飲みやすいけれど、おなかがよろこぶほどのミネラルが含まれていない。その点、中硬水は両方のいいとこ取りをできるのが理由です。
あなたのおなかが求める水を摂ろう!
水の分類や硬度といった基本のお話や、選ぶときの注意点などをご紹介してきましたが、あくまでも迷った時の指標の一つ。できるなら、「あなたのおなかが求めている水」を選ぶことが重要です。
今現在、便秘気味だという方は、硬度(ミネラル量)が少し高いお水が合っている場合もありますし、逆におなかが緩めだという方には、できるだけ軟水寄りが向いていたりします。個人差があることを心に留めていたいものです。
まずは、きちんと「おなか環境を見極める」ことから水選びも始まります。水分補給は毎日のことだからこそ、この機会にあなたのおなかにぴったりの水を探してみませんか?
参考:
●田和璃佳著,藤田紘一郎監修(2020)『40代からはじめる 「腸活×菌活」完全マニュアル』徳間書店.
●藤田紘一郎著(2014)『体をつくる水、壊す水~10年後に差がつく水飲み”腸”健康法30の秘訣~』ワニブックスPLUS.
●藤田紘一郎著(2018)『水の教科書 正しい飲み方・選び方の実践』海竜社.
●サントリー,「Q&Aナチュラルミネラルウォーターとはなんですか?」, https://www.suntory.co.jp/customer/faq/001890.html
●大塚製薬,「身体と水分」, https://www.otsuka.co.jp/nutraceutical/about/rehydration/water/body-fluid/
●エビアン,「ミネラル量と水の硬度>硬水と軟水の違い」,https://www.evian.co.jp/mineral/hardsoftwarter.html