おなかのために朝食を!シンバイオティクスな朝ごはん特集

毎日の朝食、あなたはきちんと食べていますか?

健康的な生活の基本ともいうべき朝食ですが、最近は「朝ごはんは食べない」という人もちらほら。「面倒だから」「時間がないから」「ダイエット中だから」など理由はさまざまですが、特に若い世代に多い傾向だそう。実は、朝食を食べない習慣は腸活の視点から見てもあまりおすすめできない理由があります。

そこで今回は、朝食と腸活の関係について紐解いていきましょう!

朝食抜きをおすすめしない理由は?

ここ最近、「朝ごはんを食べない健康法」などが聞かれるようになりましたよね。摂取カロリーを減らすためだったり、朝の時間を短縮するためだったりと色々なメリットが挙げられているようですが、現代の医学では「朝食を抜くことは健康上デメリットが大きい」と考えられています。

具体的にはどんなデメリットがあるのでしょうか?私たちの生活に直結するものを4つご紹介しますね。

① 集中力がなくなる・記憶力が下がる
私たちの脳の活動エネルギーは、主にブドウ糖の働きによるものです。そのブドウ糖は、体内にたくさん貯蔵しておくことができない栄養素なのです。そのため、朝食を抜くとブドウ糖不足が加速。結果、脳がきちんと働かず、集中力や記憶力に影響が出てしまいます。

朝食を抜いて学校や職場に行って、なぜかイライラしたりボーッとなったりしたことはありませんか?これはまさに、脳のエネルギー源=ブドウ糖が不足していることで起きる現象なのですね。

② 自律神経が整いにくくなる
自律神経とは、循環器や消化器、呼吸器などの臓器を正しく機能させるために稼働している神経のことです。この自律神経には、昼間や活動中に活性化する「交感神経」と、睡眠時やリラックス時に優位になる「副交感神経」の2種類があります。この2つの神経バランスが崩れると、健康トラブルが起きやすくなることが分かっています。

自律神経が乱れる原因として、不規則な生活や過度なストレスなどが挙げられますが、実は朝食を食べないことも一因だと言われています。起床は副交感神経から交感神経に切り替わるタイミング。そのため、朝食を食べないと体内時計がうまく働かず、スムーズに交感神経への移行ができなくなってしまうからなのです。

③ 血糖値が急変動しやすくなる
私たちの血液中にあるブドウ糖の濃度のことを、血糖値といいます。この血糖値の振り幅が大きくなればなるほど高血糖となり、不健康な状態です。

この血糖値の上がり下がりは、食事をとるタイミングによって変動することはよく知られていますよね。もし朝食を抜いたままだと、起床後からずっと低血糖だった状態から昼食の時にグンと血糖値が急上昇!それを下げようとして体内でインスリン(※)が大量分泌……!この悪循環に陥りやすくなるのです。こうした血糖値の急変動が起きると体への負担も大きく、なにより太りやすくなってしまうことが分かっています。

※インスリンとは?
膵臓から分泌されるホルモンの一種で、糖の代謝を調節して血糖値を一定に保つ、または血糖値を下げる働きをします。(厚生労働省 e-ヘルスネット/健康用語辞典より引用)


④ 便通トラブルが起きやすくなる
生活の中で一番スムーズにお通じがくる時間帯は、朝食後だといわれています。夜の間に休んでいた胃腸に食べ物が入ると、その刺激で腸が働き出すからです。そのため、朝食を食べないで一日をスタートさせてしまうと、胃腸が動いて排泄を促すというメカニズムがうまく機能してくれなくなります。この状態が慢性化すると便秘になりやすくなるので、規則正しい時間に朝食をとることが自然な便通へとつながります。

いかがですか?「朝食をとらない」ことがいかに日頃の健康に影響するかを実感しますよね。それでは、さらに腸活との関わりについて掘り下げていきましょう!

 

腸活に朝食が欠かせないワケ

腸内環境を良くして健康を育む「腸活」。この基本は、毎日の食生活の中で腸内フローラを整えることにあります。多種多様な細菌がバランスよく生息する腸内フローラが理想で、そのために欠かせないのが「バランスの良い食事」です。

その「バランスの良い食事」において、特に大切にしてほしいのが「朝食」なのです。

朝食には、栄養を摂るという目的だけでなく、体内時計をリセットしたり、体を目覚めさせたり、就寝中に下がった体温を上げる効果があります。なにより、それまで休んでいた胃腸に食べ物が入ることで腸が動き出し、排便を促すという重要な役割があります。

前述でもお伝えしたように、朝食の後はスムーズな排便の大チャンス!このチャンスを逃すのは、腸活の視点からみて本当にもったいないのです。なぜなら、便秘の状態が続くと悪玉菌が増え続け、腸内フローラのバランスが崩れてしまうから。そうなると、肌荒れなどの美容トラブルが増えたり、免疫機能に影響を及ぼしたり、ネガティブな気分になったりと、体と心の健康にとって大きなダメージとなります。

腸活では運動や睡眠も大切ですが、規則正しい食生活がなにより重要。そういった点からも、腸活にとって「朝食」は不可欠だといえます。

朝食で摂りたい腸活向けの食材は?

発酵食品いろいろ

一日を健やかにスタートさせるためにも朝食はしっかり食べたいところですが、朝は忙しくて時間が取れず、コーヒーやパンだけでサッと済ませる人も多いかもしれません。ですが、それだけだと腸活においては圧倒的な栄養不足だと言わざるを得ません。

そこで朝食で積極的に摂りたいのが、善玉菌を届ける「プロバイオティクス」と、その善玉菌のエサとなる「プレバイオティクス」と呼ばれる食品です。なんとなく難しそうな印象ですが、目的はとてもシンプル。それは、どちらも「腸内の善玉菌を増やして腸内フローラ環境を整えてくれる食品」であることです。

●プロバイオティクスとは
人の腸に存在する善玉菌そのもの、または人にとって有益な生きた微生物のこと。代表的な菌や成分として、納豆菌、乳酸菌、ビフィズス菌などがあります。

●プレバイオティクスとは
腸内にいる特定の善玉菌を増やし、活性化させる食品成分のこと。代表的な成分として、オリゴ糖類、不溶性食物繊維、水溶性食物繊維などがあります。

ちなみに、この「プロバイオティクス」と「プレバイオティクス」の食品を一緒に摂ることを「シンバイオティクス」と呼び、腸内環境をより効果的に整える方法として注目されています。 健康を脅かす悪玉菌を少しでも増やさないために、朝食という絶好の腸活タイミングでこれらの食品をうまく取り入れることが、効率のいい腸活へとつながります。

簡単!シンバイオティクスな朝ごはん

「プロバイオティクス」と「プレバイオティクス」の相乗効果が期待できる「シンバイオティクス」な朝食を摂りたい!でも、手間がかかるメニューはなかなか続けにくいですよね。そこで、忙しい朝でも簡単に用意できるおすすめメニューをご紹介します。

●ハチミツがけフルーツヨーグルト
ヨーグルトハチミツバナナ

ヨーグルトに、ハチミツ&バナナを組み合わせた簡単メニュー。バナナのほかにも、食物繊維が豊富なフルーツと組み合わせるのもOK。ブルーベリーやキウイ、リンゴなどがおすすめです。ヨーグルトはビフィズス菌入りのものを選んでくださいね。

●水切りヨーグルトトースト
ヨーグルトハチミツきな粉+食パン

ヨーグルトの水分を抜いて作る水切りヨーグルトは、作っておくと朝食にとても便利。作り方は簡単で、ザルに一回り小さいボウルを下にして重ねたら、ザルにキッチンペーパーを敷きます。その上にヨーグルトを入れ、ラップをかけて2〜3時間以上冷蔵庫で水分を切るだけ。こっくりとした質感になるので、クリームチーズのようにトーストに塗って焼きましょう。仕上げにハチミツときな粉をかけてどうぞ。

●水切りヨーグルトの納豆冷奴
ヨーグルト納豆醤油

水切りヨーグルトの和風アレンジ!ヨーグルトをお豆腐のようにして楽しむメニューです。まろやかな水切りヨーグルトに納豆をトッピングしたら、かつお節としょうゆをふりかけて冷奴風にいただく、和食派の方におすすめのメニュー。キムチや温玉を乗せたりと、色々なアレンジができるので飽きにくいのも◎。

●納豆とわかめのお味噌汁
納豆わかめ味噌

わかめのお味噌汁に納豆をプラスしたメニューです。味噌の乳酸菌と納豆の納豆菌、そしてわかめの水溶性食物繊維を一度に摂取できる効率の良さが魅力。お味噌汁自体に発酵パワーがあるので、プレバイオティクスの食材と合わせるだけで腸活メニューに早変わりします。時間がない時は、味噌玉を常備しておくと便利ですよ。

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今回は、シンバイオティクスとしておすすめの朝食メニューを4つご紹介しましたが、食材として苦手なものだったり、今まで食べていたけれど効果を感じにくかったりと個人差もあるかと思います。そんな時は、加工品や健康食品、サプリメントなども上手に活用しながら、無理なく続けられる方法を探ってみてくださいね。

今日のお話が、現在の朝食を見直すきっかけになればうれしいです。


参考: 
●藤田紘一郎著(2015)『「腸にいいこと」だけをやりなさい!』家の光協会.
●小林弘幸著(2019)『医者が考案した最強の朝ごはん』徳間書店.
●田和璃佳, 藤田紘一郎著(2020)『40代からはじめる「腸活×菌活」完全マニュアル』徳間書店.
●江田証著(2019)『新しい腸の教科書 健康なカラダは、すべて腸から始まる』池田書店.
●厚生労働省,e-ヘルスネット「健康用語辞典>生活習慣病予防>インスリン」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-011.html
●農林水産省,「朝ごはんを食べないと?」https://www.maff.go.jp/j/seisan/kakou/mezamasi/about/about.html
●農林水産省,みんなの食育「朝ごはんを食べていますか」https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/minna_navi/topics/topics2_02.html
●ボララボ,ドクターに聞く「排便コントロールについて」https://www.borralab.com/prevention/knowledge/knowledge008.html
●明治の食育,「「腸活」に朝ごはん抜きはNG!水切りヨーグルト簡単活用術」https://www.meiji.co.jp/meiji-shokuiku/adult/column001/