おなかがよろこぶ 歩き方レッスン

腸活のために食事には気を使っているのに、あまり成果を感じない……。それ、もしかしたら「運動不足」が原因かもしれません。

おなかの健康にとって食事はとても重要ですが、それと同じくらい「体を動かすこと」も大切です。とはいえ、本格的なスポーツを始めるのはなかなか大変ですよね。そこでおすすめなのが、ウォーキングです。歩くことは、私たちの生活の中で最も身近な運動だといえます。

さあ、今回は「おなかがよろこぶ歩き方」を一緒に学びましょう!

座りっぱなしは危険だらけ

ところで、今日はどれくらい歩きましたか?

気づいたら、ずっと座りっぱなしだった……という方もいらっしゃるのでは?

実は、現代の私たちは「座りすぎのリスク」を抱えていると言われています。仕事中でも移動中でも、「とにかく座っている時間」が多すぎるというのです。座りっぱなしだと血流が悪くなり、さまざまな健康弊害につながります。たとえば、長時間座っている人ほど肥満や糖尿病、狭心症などになるリスクが高いことが分かっています。しかも、日本人は世界トップレベルで座っている時間が長いというデータ(※)もあるほど。これはWHO(世界保健機関)でも危惧されているそう。

なぜ「座りすぎ」によって健康被害のリスクが上がるかというと、もともと私たち人間の体は構造として「立って動く」ように出来ているからなんです。座りっぱなしの状態は、体にとって不自然というわけですね。

例えば、疲れた時にじっと座っていてもあまり疲労感は取れず、立ち上がって動いた方が疲れが取れやすいといわれています。それは動くことで血流が良くなり、老廃物が排出されるからです。血行不良の他にも、エネルギー消費量が少なかったり、足の筋力が衰えたりとデメリットだらけ!さらに腸活の視点からみても、座りっぱなしはNGなんです。

 ※厚生労働省「座位行動について」より https://www.mhlw.go.jp/content/000656521.pdf

歩くことは腸活につながる

座りっぱなしで体を動かさない姿勢は、腸活にとってもデメリットだらけ。

まず心配なのは、便秘になりやすくなる点。長時間座ったままだと、腸への刺激が何も起きませんよね。しかも同じ姿勢を続けることになるので、腸が圧迫されて便が詰まり、便秘になりやすくなります。また、腸の動きが鈍くなると自律神経が乱れがちになるのも心配です。

そこでおすすめなのが、ウォーキングなのです!なぜなら、ウォーキングはインナーマッスルの強化が期待できる運動のひとつだから。インナーマッスルとは、いわゆる「体の一番奥に位置している深層筋」のことで、体幹を安定させ、呼吸や姿勢、内臓などを支える重要な部位です。その中でも腸活で特に重要なのは、「腹横筋」「腹直筋」と呼ばれるおなか付近のインナーマッスル。ここを動かして腸に刺激を与えると、ぜん動運動(腸の内容物を移動させる働き)が起き、さらに腹筋やお尻の筋肉を鍛えることになるので排便力も高まります。またウォーキングは全身を動かすため、腸内環境の敵であるストレスの解消にもつながります。

健やかなおなか環境のために便もストレスも溜め込みたくないという方にとって、「歩くこと」は本当に心強い運動なのです。そこで、明日からすぐに出来る「おなかがよろこぶウォーキング」を5つご紹介しますね!

今日からできる!おなかがよろこぶウォーキング5選

① 体ひねりウォーキング
全身を大きくひねりながら歩いてみましょう。ひじを胸のあたりまで上げて、そのまま体全体で雑巾を絞るようなイメージで歩き出します。右足を前に出した時は右側に、左足を出した時は左側に、肩甲骨を大きく動かすようにひねると、肩甲骨と連動している腰まわりも動き、快活に歩けるようになります。1分〜3分ほどでOK。

② かかと着地ウォーキング
骨盤に意識を置きながら、つま先を持ち上げてかかとから着地するウォーキングです。骨盤のズレや姿勢の悪さは腸の形が歪んだり、位置が下がったりする原因になるため、骨盤の柔軟性を高める歩き方は腸活としても◎。頭のてっぺんを引き上げるような意識で姿勢良くまっすぐに立ったら、かかとで着地しながら歩き始めましょう。骨盤周辺のインナーマッスルが効果的に使われますよ。お散歩などでもぜひ取り入れて。

③ 8歩で1呼吸ウォーキング
全身を使った有酸素運動であるウォーキングは、スムーズな呼吸で全身に酸素を送ることで血流がよくなり、腸の働きにもプラスに働きます。そこでおすすめしたいのが呼吸を意識した歩き方。できれば、一歩ごとに息を「①吐く」「②吐く」「③吐く」「④吐く」「⑤吸う」「⑥吸う」「⑦吸う」「⑧吸う」となる、8歩で1呼吸を繰り返すウォーキングだと、より多くの酸素を取り込むことができます。

④ 足踏みウォーキング
なかなかウォーキングに出かける時間が取れない!そんな時は、自宅での足踏みだけでも立派なウォーキングになります。足踏みをする時は両足を肩幅程度に開いて、腕を前後に大きく振りながらリズミカルに足踏みをしましょう。この時に体の軸が左右にずれないように、中心を意識するのがコツ。ながら運動としてもおすすめです。

⑤ その場で全力かけっこ
④の足踏みウォーキングの別バージョンともいうべき「その場で全力かけっこ」は、足というよりは腕の動きを活用したウォーキング。足を揃えて立ち、よーいドン!の構えでスタートポジションについたら、腕を大きく、だんだん早く振るだけ。30秒〜1分ほど続けましょう。シンプルな動きですが、肩甲骨と骨盤が連動して動くので、腸にもいい刺激に。

おなかのインナーマッスルを鍛えよう!

慢性的な腸の不調や便秘は、運動不足や姿勢の悪さからくるインナーマッスルの衰えが原因というケースも多く聞かれます。特に腹筋やおなか周りの筋力は、スムーズな排便に不可欠です。

そんなインナーマッスルを鍛えるのに、ハードなトレーニングは不要。今日ご紹介したように、歩くだけでも十分鍛えることができます。もちろん、いつもの買い物や通勤で歩く時間を少し増やしたり、階段を意識的に使ったりするだけでも違いますよ。

手軽に始められるウォーキングをぜひ毎日続けて、健やかなおなか環境を育んでいきましょう!


参考: 
●小林弘幸著(2021)『腸活にいいこと超大全』宝島社.
●藤田紘一郎著(2015)『「腸にいいこと」だけをやりなさい!』毎日新聞出版.
●松本明子(著), 小林弘幸(監修)(2015)『腸をキレイにしたらたった3週間で体の不調がみるみる改善されて40年来の便秘にサヨナラできました! 』アスコム.
●月刊誌『現代を健康に生きる 栄養と料理』(2021年12月号)女子栄養大学出版部.
●山﨑美歩呼著(2020)『10歳若返る骨盤腸整ウォーキング』株式会社世界文化社.
●東京都福祉保健局,健康ステーション「座位行動を減らして、身体活動量を増やそう」https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kensui/undou/zai.html
●広島県国民健康保険団体連合会,コッピーの健康ライフ「ウォーキングの豆知識コーナー」https://www.hiroshima-kokuhoren.or.jp/healthy_life/walk06.html
●厚生労働省,「座位行動について」https://www.mhlw.go.jp/content/000656521.pdf
●SUNSTAR,「健康道場>腸にいいお話 快腸エクササイズ」https://www.kenkodojo.com/guts/exercise/
●Panasonic,「UP LIFE>健康>腸内環境を整える運動とは?」https://panasonic.jp/life/health/160036.html