菌のチカラで腸温活!寒さに強いカラダをつくろう

ますます寒さが厳しい季節ですね。冬になると、なぜか調子が悪くなるということはありませんか?それ、もしかしたら「冷え」が原因かもしれません。

昔から「冷えは万病のもと」、いわゆる未病と捉えられており、私たちの健康にとって「温める」ことはとても重要だと考えられています。ですが、ただ体を外から温めるだけでは根本的な解決は難しいもの。

それでは、どうしたら冷えに打ち勝つことができるのでしょうか?そこで今、注目されているのが腸温活です。さあ、くわしくみていきましょう!

 

寒くなると調子が悪くなるのはなぜ?

寒くなると、急に体調を崩しやすくなるという声をよく聞きます。

冬になって気温が下がると、おのずと体も冷えますよね。すると脳の視床下部という場所が体温の低下を感知。そのシグナルを受けて、交感神経が刺激されます。

交感神経が優位になると、少しでも体温を上昇させようと肌の毛細血管や筋肉が収縮され、皮膚からの体温放出を食い止めようとするんです。例えば、寒さを感じると鳥肌がたちますよね。これは、毛穴のそばにある小さな筋肉が収縮して毛穴自体がキュッと閉じるから。これも交感神経の優位によって起こる現象です。

この交感神経の優位によって血管が収縮することで、腸の血流や動きが悪くなると考えられています。その結果、便秘になりやすくなったり、老廃物や毒素の排出がスムーズにいかなくなったりといった腸内トラブルが起こるようになります。

さらに、腸の血流が悪くなることで胃の働きも低下。食べ物を消化吸収する力が弱まったり、下痢になりやすくなったり…。胃腸の働きが悪くなるということは、栄養摂取や代謝の衰え、便秘、免疫力など、実に多くの健康トラブルにつながるのです。

そのため、「体が冷える=交感神経が優位になる=腸トラブルが増える=調子が悪くなる」という図式が出来上がってしまいます。こうした冷えによる健康トラブルを招きにくくするには、腸を温め、腸の働きを良くしてあげることが大切です。これがいわゆる腸温活です。

では、「腸温活って具体的に何をすればいいの?」という方、ぜひ次の項目をご覧ください。毎日の食事と生活習慣を少し見直すだけで、すぐに「腸温活」となるポイントをまとめました!

おなかを温める腸温活ポイント【食事編】

「腸温活」は、体の内側からのアプローチが欠かせません。まずは、毎日の食事における腸温活ポイントを4つご紹介しますね。

【1】 たんぱく質をしっかり摂ろう

食事をした後、エネルギーが熱になることはよく知られていますよね。その体内エネルギーをつくり出す大切な栄養素が、たんぱく質です。たんぱく質の多い食事は熱産生量が多く効果的なので、お肉お魚乳製品卵製品をメニューにできるだけ組み込むようにしましょう。豆類などの植物性たんぱく質も◎。

【2】 腸内細菌を増やす発酵食を摂ろう

発酵食品いろいろ

 腸内環境が乱れていると、どんなに外側からおなかを温めても腸が元気に動いてくれません。腸内環境を整えてくれる「善玉菌を多く含む発酵食品」を積極的に摂りましょう。納豆ヨーグルトキムチなどがオススメです。同時に、善玉菌が減る原因となる食品添加物などはなるべく控えたいですね。

【3】 食物繊維をしっかり摂ろう

食物繊維は腸内細菌を活性化してくれたり、腸の活動をサポートしてくれたりと、腸内環境を整える上で欠かせません。食物繊維には「不溶性食物繊維」「水溶性食物繊維」の2種類がありますが、どちらもバランスよく、複数の食材から摂取できると効果的です。

【4】 極端に冷たい食べ物・飲み物は控えよう

キンキンに冷えた飲み物や冷菓などは爽快感があって口には美味しいのですが、いきなり大量におなかに入ってくると胃腸が一気に冷えてしまい、血行が悪くなることで腸の働きが鈍ります。腸内温度が36℃を下回ると免疫細胞の働きが弱まってしまうため、できるだけ常温かホットで、どうしても冷たいものをとりたい時は口の中で少し温めるようにして、胃腸への負担を和らげる工夫をしましょう。

おなかを温める腸温活ポイント【生活編】

次に、「腸温活」における生活習慣でのポイントは3つ。どれもすぐに始められるものばかり!ぜひ、毎日の習慣として始めてみましょう。

【1】 お腹&首・手首・足首を冷やさない

冬だけに限らず、できるだけ薄着を控えて体を冷やさないようにしましょう。ただし、極端な厚着も要注意です。体をしめつけすぎる厚着は血行不良の一因になることも。あまり厚着をしなくても、お腹と首・手首・足首をピンポイントでしっかり温めると巡りがよくなりますよ。冬は腹巻きやレッグウォーマーを活用しましょう。

【2】 熱を生みだす筋力をつけよう

筋肉を動かす時ってエネルギーが必要ですよね。そのエネルギーを産生する時に熱が発生するため、筋肉が少なく脂肪が多いと冷えを招きやすくなります。そこで冷え撃退のためにオススメしたいのが、下半身を鍛える筋トレ。特に太ももは体の中で一番筋肉が多いので、軽いスクワットウォーキングだけでもOK。ぜひ、一日5分から始めてみましょう。

【3】 運動と睡眠を見直そう

冷えと自律神経(交感神経と副交感神経)は密接な関係にあるため、自律神経のバランスを整えるためには適度な運動良質な睡眠がマスト。枕や部屋の照明、室温などの睡眠環境も見直してみましょう。また、運動はストレス解消にもなります。こうした自律神経のバランスを整えることが冷え対策につながります。

 

寒さに強いカラダを内側からつくろう!

冷えないカラダづくりのための「腸温活」のポイント、いかがでしたか?意外とすぐにできそうなものばかりですよね。コツは、腸を温め、腸の働きを良くしてあげること。ちょっとした工夫で、寒さに負けない健康的な毎日へとつながっていきます。

たかが冷え、されど冷え。さまざまな食材や菌のチカラを最大限に活用して、体の内側から元気を培っていきたいものですね。今年こそ、おなかを冷やさない「腸温活」で寒さに打ち勝ちましょう!

 

 


参考: 

●松生恒夫(著)(2019)『腸の冷えを取ると病気は勝手に治る (大腸の専門医が教える最強の食事術)』マキノ出版.
●根来秀行(著)(2021)『負けないからだづくり 新しい免疫力の教科書』朝日新聞出版.
●NHK,高校講座テレビ学習メモ「生物基礎 第21回 自律神経による調節」
https://www.nhk.or.jp/kokokoza/tv/seibutsukiso/archive/seibutsu18_21.pdf
●厚生労働省, e-ヘルスネット「健康用語辞典>自律神経失調症」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-082.html
●ウェザーニュース,「暖かくなっても、大腸専門医が「ホット」を飲んでいる理由」
https://weathernews.jp/s/topics/202203/310275/
●森永製菓, ヘルシースナッキングコラム「腸の元気がカギ!?寒さに負けないカラダづくりとは」
https://www.morinaga.co.jp/healthysnacking/columns/keep_tammy_warm/
●RICEFORCE, belta piu「冷え・むくみなどの不調ともサヨナラ“腸温活”を始めよう!」
https://www.riceforce.com/stc/belta_piu/65/default.aspx